がん治療にかかる費用※平均の自己負担額は約100万円
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アフラックの2004年の調査によると、がんの治療にかかった自己負担額の平均は91万5973円だそうです。
10年以上前の調べですが、今でも目安となるのは100万円程度、治療費として支払う費用は50万円程度ですが、それ以外の費用もかかることが理由です。
- がんの種類別の費用平均
- がん治療で実際に支払う医療費は高額療養費の合計額
- 医療費以外にもかかるがんの費用
- トータルでがん治療にかかる費用(自己負担額)をシュミレーション
- 治療の経過ごとにがん治療にかかる費用。わたしの母の場合を例に
- 高額療養制度の対象になるものとならないもの
がんの種類別の費用平均
下記は、胃がん、乳がん、子宮がんなど、がんの種類別の費用の平均です。
厚生労働省の医療給付実態調査(平成27年度)の第3表をもとに算出しています。
がんの種類 | 入院・入院外合計 | 自己負担額 |
---|---|---|
がん平均 | 676,947円 | 203,084円 |
胃ガン | 643,764円 | 193,129円 |
大腸ガン | 636,557円 | 190,967円 |
直腸ガン | 787,923円 | 236,376円 |
肝ガン | 627,623円 | 188,287円 |
肺ガン、気管支ガン | 703,280円 | 210,984円 |
乳ガン | 605,588円 | 181,676円 |
子宮ガン | 624,498円 | 187,349円 |
悪性リンパ腫 | 975,623円 | 292,687円 |
白血病 | 1,556,487円 | 466,946円 |
その他の悪性新生物 | 672,851円 | 201,855円 |
上記の表の、がんの医療にかかる費用が入院・入院外合計になります。
保険診療による費用の平均なので、健康保険に加入している人なら、自己負担額が3割なので、入院・入院外合計X0.3が負担額になります。
全てのがんにかかる費用では、約20万円が自己負担額の平均となります。
実際には、高額療養制度(年収770万円以下なら約月8万円)があり、もう少し低くなるかもしれません。
ただ、がんに実際にかかった場合の費用負担は、これだけではありません。
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がん治療で実際に支払う医療費は高額療養費の合計額
がんの医療にかかる治療の費用は上記の表ですが、実際に支払う医療費は高額療養費になります。(健康保険への加入を前提とします。)
高額療養費制度とは、高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、後で払い戻される制度です。(「厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ」より引用)
高額療養費は、年収によって変わります。下記の表になります。
適用区分 | ひと月の上限額 (世帯ごと) |
多数回該当 |
---|---|---|
区分ア 年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 |
252,600円+(医療費-842,000)×1% | 140,100円 |
区分イ 年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 |
167,400円+(医療費-558,000)×1% | 93,000円 |
区分ウ 年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 |
80,100円+(医療費-267,000)×1% | 44,400円 |
区分エ ~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 |
57,600円 | 44,400円 |
区分オ 住民税非課税者 |
35,400円 | 24,600円 |
世帯平均所得は約560万円だそうなので、区分ウが一番多いと考え、「区分ウ」でシュミレーションをします。
入院の平均日数は約20日なので1ヶ月分は確実、あとは、通院期間をどう考えるかです。
わたしの母の場合は、抗がん剤治療を含めた治療期間は約半年でした。
抗がん剤治療と抗がん剤の副作用を抑えるための大量の薬、がんの進行を図るための検査がほぼ毎月だったので、毎月10万円を超える医療費が請求されていました。
なお、高額療養費には多数回該当の適用があり、過去12か月以内に3回以上、高額療養費の対象となった場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。
区分ウの場合は、4ヶ月以降は44,400円になります。
通院も含めた治療期間を6ヶ月と考えるなら、区分ウでの高額療養費は80,100円+αなので、約40万円になります。
なお、年収が高い人は、高額療養費が高くなります。
年収が高い人は、がん保険で備えるのであれば、高い保険金額のものに入るべきです。
【治療期間を6ヶ月とした場合の区分ごとの高額療養費】
※高額療養費だけの6ヶ月間の目安の費用の計算です。
適用区分 | 高額療養費 |
---|---|
区分ア | 約117万8100円 |
区分イ | 約78万1200円 |
区分ウ | 約37万3500円 |
区分エ | 約30万6000円 |
区分オ | 約18万円 |
医療費以外にもかかるがんの費用:食事・生活療養費、差額ベッド代など
入院、手術などにかかる費用は、上記の表になりますが、実際にがんにかかった場合には、医療費以外にも費用がかかります。
まずは、入院中の食事代です。
医療費を支払ったときにもらう領収書に、食事・生活療養という項目で支払うものですが、意外に大きな金額となります。
厚生労働省の医療給付実態調査(平成27年度)の第3表によれば、がんで入院等した場合の食事・生活療養費の平均は、約195,160円になります。
入院中の食事代は、平成30年4月より1食あたり460円と決められています。3食で1380円です。これに、光熱費等にあたる生活療養費がプラスされるので、かなりの金額になります。
食事・生活療養費は3割負担ではなく、すべて自己負担です。食事代もがんにかかる大きな負担になります。
そして大きいのが差額ベッド代です。1日あたり7~8,000円が入院日数分必要です。
入院日数の平均が約20日なので、差額ベッド代は約14~16万円必要になります。
これ以外にも、通院・入院のための交通費、通院時の診察料や投薬・注射代、入院時の日用品、抗がん剤の影響を隠すためのかつらなども必要になります。
退院となり、自宅療養になった後も、食事が制限されるので(抗がん剤の影響で生ものが食べられなくなります)、食事を別途用意する必要もあります。
高額療養制度は医療費の部分を負担するものなので、それ以外にかかる費用については、貯金やがん保険での備えが必要になります。
トータルでがん治療にかかる費用(自己負担額)をシュミレーション
がん治療にかかる自己負担は、高額療養費+食事・生活療養費+差額ベッド代+通院、入院のための交通費+入院時の日用品+自宅療養費の食事代等になります。
高額療養制度の区分ウの場合のトータルの自己負担額は約90万円程度になります。
がんの種類に応じて、入院日数、通院日数も違いますが、自己負担額の平均が約100万円というのはあながち間違いではありません。
もしものことを考えれば、がんにかかる費用として、預貯金またはがん保険で100万円は用意しておきたいところです。
【費用内訳】
費用 | 金額 |
---|---|
医療費 (高額療養費) |
約49万円 |
食事・生活療養費 | 約20万円 |
差額ベッド代 | 約14~16万円 |
その他費用 交通費・自宅療養の食費 |
約5万円~ |
合計 | 約88万円~ |
その他費用は、週1の通院に関するタクシー代等が往復で月8000円X6ヶ月、食事に制限が加わるので別途食事代など
高額療養制度の対象になるものとならないもの
かかる費用 | 高額療養 |
---|---|
手術代 | 対象 |
入院費 | 対象 |
通院費 | 対象 |
抗がん剤治療 | 対象 |
ホルモン治療 | 対象 |
放射線治療 | 対象 |
薬代・注射代 | 対象 |
差額ベッド代 | 対象でない |
食事代 | 対象でない |
タオル代 ※レンタルの場合 |
対象でない |
寝巻き代 ※レンタルの場合 |
対象でない |
病院への交通費 | 対象でない |
治療の経過ごとにがん治療にかかる費用。わたしの母の場合を例に
わたしの母の場合を例に、治療の経過とともにがん治療にかかった費用をまとめました。
高額療養制度を使えば、がんにかかっても、1・2ヶ月程度の入院で済むなら、約8万円X治療にかかる月数で費用が終わりそうですが、実際に費用がかかりました。
高額になる要因の一つが差額ベッド代です。
わたしの母ががんで入院したときに、金額の多さにびっくりしたのも差額ベッド代です。
初月の医療費は200万円以上かかったものの、高額療養費で6万以下になったところはよかったのですが、差額ベッド代が1日あたり8000円ほどかかり、結局支払ったお金は30万円を超えました。
がんであることが分かった入院当初は、継続的な検査も必要なことから個室での治療になるケースが多いと思われます。個室の差額ベッド代の相場は一日あたり7~8000円なので、1ヶ月入院すると20万円を超える金額となります。
細かくなりますが、入院中は、病院の食事代が1日約1000円、寝巻きやタオルもレンタルを使うケースが多く1日300~400円、合わせて約4万円で、これらも合わせると、1ヶ月入院すると病院からの請求は30万円を超えます。
悪性リンパ腫など入院期間が長い場合は、2ヶ月程度の入院が必要で、60万円程度の出費となります。
通院治療になった場合でも、負担は続きます。抗がん剤治療、ホルモン剤治療を治療および転移を防ぐために行うケースが多く、こちらも2~3ヶ月かかります。1回につき5万円程度で病状に合わせて月2回行うので、月10万円は超えます。2~3ヶ月、高額療養制度の上限分必要なので、16~24万円必要です。
これらを合わせると、50~80万円程度は必要になります。
このほかに必要なのが、治療中の生活費です。
がん治療中は、普通の身体ではないので、病院への通院もタクシーなどが必要になると思います。毎日の食事も、生ものがだめだったりと、いつもの食事が難しいので、食費もふだんより多く必要になるかもしれません。
がん闘病中の食事は、白血球が少なくなり、免疫が弱くなるので、生ものがだめになります。気を使った食事になる分、費用もかかります。
トータルするとがんにかかる費用の平均が約100万円というのは、あながち間違いではないかもしれません。
また、がん治療中は、働くことが厳しくなります。
会社員であれば、傷病手当金として、通常の給料の8割程度が支給されます。
ただ、8割では、毎月の生活も厳しいかもしれません。さらに、治療による負担となるので、経済的な支えが本当に必要になります。
経過 | 費用 | 内容 |
---|---|---|
入院初期 1~2ヶ月 |
約30万円 X月数 |
高額療養対象 ・治療費 高額療養対象外 ・差額ベッド代 ・食事代 ・寝巻き ・タオル代 |
通院 2~3ヶ月 |
約10万円 X月数 |
高額療養対象 ・治療費 ※抗がん剤・薬代など 高額療養対象外 ・食費 ・通院のタクシー代 |
くわしくは、がん治療にかかる費用※わたしの母の悪性リンパ腫の場合を参照ください。
がんの種類に応じて、費用も変化
当然ですが、がんの種類によって、かかる費用も変化します。
厚生労働省の平成19年の調査による1日あたりの入院費と平均入院日数をまとめたのが下記の表です。
実際にかかる費用ですが、健康保険に入っていれば、下の表に対して、3割負担にはなり、高額療養制度を使うので、実際は、月額ベースで考えなくてはいけません。
ただ、白血病(悪性リンパ腫)など、入院日数が長くなりがちなものになると、費用も多くなります。
がんの種類 | 1日あたりの入院費用 | 退院患者の平均在院日数 | 合計 |
---|---|---|---|
胃がん | 38,112円 | 26.8日 | 1,021,401円 |
結腸がん | 39,087円 | 18.9日 | 738,744円 |
肝・肝内胆管のがん | 36,694円 | 22.4日 | 821,945円 |
気管支・肺がん | 35,283円 | 27.2日 | 959,697円 |
乳がん | 36,188円 | 15.5日 | 560,914円 |
子宮がん | 41,146円 | 17.1日 | 703,596円 |
白血病 | 51,528円 | 52.1日 | 2,684,608円 |
先進医療を使えば、さらに費用負担は大きく
最近、新たな治療の選択肢となってきた先進医療。体にメスをいれずに治療が済むため、回復力も早く治療期間も短縮されることで、利用者も増えてきています。
ただ、原則自己負担だけに先進医療の費用負担が非常に大きく、重粒子線治療・陽子線治療などはともに約300万円と普通に払える金額ではありません。
どの病院でも受けることが可能というわけではなく、先進医療が実際に使われるケースは少ないかも知れません。ただ、先進医療特約は、アフラックのがん保険で月額79円と高くありません。入っていても問題ないかもしれません。
安心して治療を受けるために保険の備えが必要
100万円を超える預貯金があれば入る必要が無いかもしれませんが、がんにかかったときのことを考えれば、がん保険には加入しておいた方が無難です。
かかったときのことと、その後の生活費などを考えると、最低でも一時金が100万円をしっかり受け取れるがん保険に入っておきたいものです。
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